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映画「君の名は。」は美しい「怪談」だったなぁ。 [アニメ]

いま話題の映画
「君の名は。」を、家族で観ました。

感動しました。

涙、だーだー流して、鼻をチーンって
かみながら、子供に

「あれ?おとうさん、泣いてるの?!?」

って、指さして笑われながらも、ええ、
感動しましたとも!

歳とってから、確実に涙腺が緩んでるなぁ
って、思いますね(笑)

で、自分なりに、物語を反すうして、
何に心を動かされたのかを、考えて
みました。

※※※※以下ネタバレ含みます※※※※


まず、この映画の本筋って、怪談なんです
よね。

主題歌を歌うRADWIMPSの軽快なポップス。
新進気鋭のアニメーターによる緻密な
風景描写や、生き生きとした登場人物。
思春期の少年少女が入れ替わるドタバタ
コメディと、ボーイミーツガールな展開。

これらのオブラートに包まれて、怪談が
感動的な美しい物語に昇華されているので、
正直、怖いという感想は無く、むしろ
美しいとすら思うわけです。

先日、郷内心瞳さんの著書、
『拝み屋怪談 禁忌を書く』 を読んだ
ばかりだから、こんなことを感じるの
かもしれませんが。

-------------------------------------

ある日、少年に、魂(精神)の入れ替わり
という現象が発生し、見ず知らずの
女の子になっていた。

その現象は、一度だけではなく、頻繁に
起こるようになった。

始めのうちは、おもしろい、不思議な
こともあるものだなぁと感じていたが、
次第にその相手の素性が気になり、
会ってみたいと思うようになった。

それで、思い切って、連絡を取ろうと
試みたが、電話が通じない。

仕方なく、直接会いに行ってみると、
その相手の女の子が、三年前に既に
亡くなっていたという事が分かった。

-------------------------------------

ほらね。
これだけ読むと、背筋がスッと寒くなる
怪談ですよね。


ただね、郷内心瞳さんの
『拝み屋怪談 禁忌を書く』のレビュー
にも書きましたけど、怪談というのは、
何も怖くて恐ろしい話を指すわけでは
ないんですよ。

怪異。
つまり、化け物や妖怪の類ではなく、
日常に潜む、ちょっとした不思議な現象、
どう考えても、理屈では片づけられない、
あり得ない事象。

そんな怪異をまとめた話が、怪談なんです。

そして、怪談の多くは、死者との対話に
あるんですよね。

そりゃ、世の中に恨みつらみがあって、
「うらめしや~」って化けて出てくる
幽霊もいるでしょうよ。

でも、見方を変えれば、あれだって、

「私は死んでも死にきれないんだよ」

って、生きている人間に、うったえ
かけているだけですからね。

怪談の中には、それこそ、生きている
人間を見守り、時には枕元に立ったり、
目の前に現れたり、優しく包み込んで
くれたり、語りかけてくれたりする、
そんな視えざる存在もいるわけです。
(それを幽霊とは呼びたくないけど)

「君の名は。」の女の子も、後者の
ほうですよね。

映画が公開されたのは、2016年。
3.11の震災から、5年が経ちました。

その時間が意味するものは何か。

たぶん、一つの節目なんだと思います。

郷内心瞳さんのTwitterで知ったの
ですが、東日本大震災後に、あの津波の
被災地では心霊体験が多く語られる
ようになったそうです。

そういう、被災者の体験談をまとめて
「震災怪談」として書籍化したり、
朗読会を開いたりしているそうです。

そういうニュースを耳にすると、
たくさんの人間が亡くなったのに、
それを怪談にするなんて、不謹慎だ!
と言う人が、たくさんいるそうです。

ただ、前述したように、怪談という
ものは、別に怖い話ばかりではないん
です。

確かに、イメージとしては、暗い照明と
おどろおどろしい効果音で「いかにも
出そう」という演出の中で、語り手が、
ボソボソと怖い話をし、聞き手が
「キャーッ!」と肝を冷やす、そんな
場面が思い浮かびますよね。

あれって、思うに、テレビで植えつけ
られた、怪談のステレオタイプですよね。

だから、「怪談しようぜ」なんて言うと、
ちょっと面白いような、肝試しのような
そんな風に、死者の魂をネタに遊んで
いるような感じに思われちゃう。

だから、「震災怪談」なんて聞くと、
不謹慎な!ってなる。

じゃあ、聞くけど、「君の名は。」を
観て、「なんて不謹慎な!」という
感想を持った人がいますか?って話。

いませんよね?

むしろ、被災して、この世から
跡形も無く消えてしまった死者の声を
感じ取り、震えましたよね?

あの惨事から、一人でも多くの人を
救えるものならば、救ってあげたい。
そう思いましたよね?

だからこそ、僕らは、三年前に既に
亡くなっていた少女に寄り添うことが
できたし、全身全霊を持って、その
彼女に会い、彼女を救おうという
少年に感情移入することができたの
だと思います。

3.11の震災から、5年が経って、
あの震災が特別なものでは無くなりました。
日本の各地で、いや、世界中で、
震災や異常気象による災害が発生して
います。

もはや、対岸の火事と思っていられる
ほど、呑気な世界ではなくなって
しまっています。

日常と非日常とが、隣り合わせにあり、
僕らがいつ、被災者になっても
おかしくない現実。

そんな危うさをリアルに感じている
からこそ、「君の名は。」で起こった
出来事は、ある意味、リアリティを
持って、観る人に訴えかけてくる
ものがあるんだと思います。

僕が映画「君の名は。」で涙を流した
ものは、3.11以降、いや、それよりも
ずっと昔から、悲惨な戦争で、
何百、何千、何万という命が失われて
いったという事実も含めて

生きたくても、生きられなくて。

悔しくて。

無念だったろうに、って。

そういう死者の想いと、幽霊でもいい
から、逢いたいという、残された人の
想いが交錯する時に、どう考えても、
理屈では片づけられない、あり得ない
事象、「怪異」が起こるかもしれない。

その可能性と、そういう奇跡があって
欲しいという願いが、感動を生んだんだ
と思いました。

もし、現実に、そういうことが起きたと
したら、科学的に証明もできないから
それを、誰かは「思い込み」と笑う
かもしれない。

でも、視えている、体験している
当事者にとっては、それは紛れもない
事実で、奇跡なんですよね。

そう思ったら、流れた涙が止まらなく
なりました。



「君の名は。」美しい怪談だったなぁ。


ちなみに、小説版「君の名は。」も
読みました。

ストーリー自体は、映画と一緒ですが、
主人公たちの心理描写が細かく
描かれていたので、映画を補完する
意味では、読んでおいて損はないと
思います。

おもしろかったのは、深海誠監督の
「あとがき」と、プロデューサーの
「よせがき」かなぁ。

ああいう制作裏話は、いいですよね。

特に、
深海誠監督が、RADWINPSの
出来上がったばかりの「前前前世」の
デモテープを初めて耳にして、
雨の中で号泣したというエピソード
とか聞くと、こっちまで泣きそうに
なります。

思うに、この映画って、作り手みんなが
深海誠監督の作る映像に惚れ込んで
一緒にいい作品を作りたい、って
気持ちが強かったんでしょうね。

声優さんも、アニメーターも、
脚本家も、プロデューサーも、
RADWINPSも、監督も!

いろいろな人が、自分の役割以上の
働きをしたから、観ている観客にも
その熱意が伝わったんじゃないか
って思います。

早くブルーレイディスク、発売されない
かしら~(^^)


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