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『拝み屋怪談 禁忌を書く』 書かれていたのは禁忌ではなく・・・ [本・コミック]

郷内心瞳さんの新刊
『拝み屋怪談 禁忌を書く』
を読みました。

拝み屋怪談 禁忌を書く (角川ホラー文庫)

拝み屋怪談 禁忌を書く (角川ホラー文庫)

  • 作者: 郷内 心瞳
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/07/23
  • メディア: 文庫


「拝み屋」というのは、
先祖供養、交通安全、安産祈願、合格祈願
など、依頼主から依頼された案件に対して
拝むことを生業とした職業です。

そういった、「普通」の案件もあれば、
祟りのお祓いなど、「特例」の案件も
あるそうです。

そんな現役の「拝み屋」が、小説を書いて
いて、今回の新刊で、4冊目になります。

小説と言っても、空想などのフィクション
ではなく、すべて、本人が見聞きしたり、
実際に体験した実録、つまり、ノンフィク
ションである、という点が、この一連の
著書の特徴でもあります。

僕自身、そんなに怖いモノが好きかと
言われると、決してそんなことはなく。

テレビゲームのバイオハザードは、初回の
しょぼいグラフィックのでさえ、恐怖で
先が進めなくてクリアを断念したほどの
ビビリです。

ただ、不思議なモノには、大変興味が
あります。
例えば、UFO、宇宙人、UMA、古代遺跡、
心霊現象、などなど。

「もしかしたら、実在するのかもしれない」

おそらく、現実と空想の狭間にある、
あやふやな、不確定な、グレーの領域に、
真実を知りたいという探究心がうずく
のだと思います。

一言で表すと「ロマン」です。

話を元に戻すと、郷内心瞳さんの書く
小説には、そんな「ロマン」があるの
です。

今回の新刊
『拝み屋怪談 禁忌を書く』
ですが、タイトルから想像すると、
この刊の中で、禁忌となる怪談が書かれて
いるのではないか?と思われますよね。

実はそうではなく、著者はすでに、禁忌
となる怪談を、
『拝み屋郷内 花嫁の家』
という小説にして発刊しているのです。

拝み屋郷内 花嫁の家 (文庫ダ・ヴィンチ)

拝み屋郷内 花嫁の家 (文庫ダ・ヴィンチ)

  • 作者: 郷内 心瞳
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 発売日: 2014/09/24
  • メディア: 文庫


今回の『拝み屋怪談 禁忌を書く』は、
『拝み屋郷内 花嫁の家』を書くにあたり
著者が2014年の春から秋にかけて体験された
怪異の実録、いわば、後日譚なのです。

では、『拝み屋郷内 花嫁の家』のほうを
先に読んでいなければ、話が分からない
のか?というと、そうでもなく。

今回の『拝み屋怪談 禁忌を書く』を
読んで、興味を持ったなら
『拝み屋郷内 花嫁の家』を読んでみる
という流れでもよいと思います。

ただ、『拝み屋郷内 花嫁の家』は、
著者が「禁忌」というだけあって、
なんていうか、特別な物語ですので、
一読する価値はあるかと思います。
めちゃくちゃ怖いですけど、それだけ
ではない、感情を揺さぶられる「何か」
がありますので・・・。


さて、前置きはこれくらいにして、
『拝み屋怪談 禁忌を書く』のレビュー
をしましょうか。

今回はズバリ!泣けます!!

あと、お墓参りに行かなくちゃ!って
気持ちになります(笑)

全体の構成としては、
『拝み屋怪談 逆さ稲荷』のような感じ
です。

拝み屋怪談 逆さ稲荷 (角川ホラー文庫)

拝み屋怪談 逆さ稲荷 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 郷内 心瞳
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/06/20
  • メディア: 文庫


一冊(293ページ)の中に、53編の怪談が
収録されています。
平均すると、一つの怪談は5.5ページ。

あくまでも平均なので、中には、たった
1ページで終わる怪談もあれば、10ページ
を越える怪談もあるといった感じです。

なので、忙しいサラリーマンのような
僕でも、通勤やちょっとした隙間時間に
サクサク読めるのは、実はちょっと
有難い構成だったりするのです。

怪談と言っても、中には、まったく
恐ろしくない話もあります。
というのも、これは「怪異」を集めた
小説なのです。

「怪異」とは、何も化け物や妖怪の類を
指すのではなく、どう考えても説明の
つかない、奇妙な出来事を意味します。

例えば「餃子ライス」という怪談が
あります。

ドライブインで注文した餃子ライスを
食べようと思ったのに、餃子が紛失した、
というような話です。
(オチが面白いので詳細は書きませんが)

郷内心瞳さんの怪談には、時折、「食」
に関するものが登場するのですが、
個人的に、結構好きなんですよね。

『拝み屋怪談 逆さ稲荷』に収録されて
いる「サンドウィッチ」とかも、すごい
オチを期待してしまうのですが、
「で?」というところで話が終わって
しまう。

オチないんです。

つまり、

「昔、こんなことがあったんですよ」

と聞かされて、

「へぇ~、それは不思議ですねぇ・・・。
 で?」

となるわけです(笑)

でも、実際の会話って、そんなものです
よね。だからこそ、なんだか真実味が
あって、よくよく考えてみると、ちょっと
怖くなったりするんだと思います。

では、そういう怪異ばかりを集めた怪談集
かというと、そうではなく、軸となる怪異が
4本(4人と言ったほうがいいのかな?)
あります。

いずれも女性です。

4人の怪異を持つ女性の間で振り回される
主人公と聞くと、どこぞのライトノベルを
思いだしますよね(笑)

いや、確かに、その女性たちが、いずれも
可愛ければ、たとえ相手が幽霊や霊感体質
であったとしても、ハーレムなのかもしれ
ません。

でも、『拝み屋怪談 禁忌を書く』を読んで
いただくと分かりますが、決して羨ましい
なんて気持ちは、これっぽっちも湧いて
きません。

また、
郷内さんは、著書の中で度々、霊能力に
憧れる、それを欲する人たちと、その顛末
についての怪談を書かれています。

他人には無い能力に憧れる気持ちは、よく
分かるのですが、こと、霊能力については
望まないほうがよいと思います。

肝試しで心霊スポットに行ってみたり、
こっくりさんをやってみたりと、不用意な
行動を取ることも、慎むべきだと思います。

郷内さんが、どれだけ日々、恐れながら、
神経をすり減らし、命を削りながら生きて
いるかが、よく分かるからです。

本著では、特に、そのような『教訓』が
含まれているようにも思えました。


あと、こんなことも思いました。


「郷内さんの本を読んで以来、前よりも
 身の回りに起きる心霊現象がひどくなった」

これは「思い込み」なのだといいます。

一方、著書の中で

死者の思いは、生者の思いを超越するほど
素晴らしい奇跡を起こすことがある。

と、郷内さんは語ります。

死者の想いというものは、遺された者の
そばに脈々と残り続ける、というのだ。

果たして、そうなのでしょうか?

それこそ、「思い込み」ということは
ないのでしょうか。

ただ、様々な怪談や、自分の実体験を
通じて分かったことは、自分以外の他者が
その怪異を目撃したり、一緒に体験をした場合、
それは「思い込み」ではなく「事実」と
なり得る、ということです。

何を当たり前な、というかもしれませんが、
怪談の多くは、他人から聞いた話なので、
その真偽のほどは、分からないのです。

かくいう自分の観た怪異でさえ、

「思い込みなんじゃないか?」

と問われると、それを完全に否定できない
のです。

それくらい、記憶というものは曖昧で
あやふやなものでしょう。

例えば、僕が現在に一番近い時間軸で
感じた怪異について、記して、この
レビューの締めくくりにしたいと思います。

2009年12月4日

自宅への帰り道、最寄駅のエスカレーターを
登っている途中で、ゴトン!という大きな
音を立てて、何かが足元に落ちました。

見ると、僕の腕時計でした。

おかしいな?
ちゃんと、手首にはめていたはずなのに。

拾い上げて見てみると、時計のベルトが
切れていました。

一瞬、表情がサッと青くなって、その場で
あわてて、母に電話を入れました。

「お父さん、大丈夫?」


その日は、末期癌で入院中の父を見舞いに
行った帰り道でした。

医者からは、

「今日が峠かもしれない」

と言われ、覚悟して行ったのですが、
何とかその日は持ちこたえ、父の意識も
はっきりとしていたので、明日また来る
から、と言って、病院を後にしたばかり
だったのです。

母からの

「何にもないよ。お父さん、寝てる」

との返事に、ほっと胸をなでおろしました。


翌朝、7時を回るか回らないかという
時間だったと思います。

母から父の訃報を知らせる電話があったのは。



今にして思えば
腕時計のベルトが千切れたのって、
「虫の知らせ」というやつじゃなかったの
かしらって、思うんですよね。

「腕時計のベルトが切れた」
というだけでは、たいした出来事ではないの
ですが、それがタイミングによっては、
何か意味を持っているようにも思えてきます。

それを、単なる「思い込み」と捉えるか、
はたまた、父の想いが僕のところに、
危篤を知らせに来たと捉えるか。

捉え方によって、その出来事は「日常」にも
「怪異」や「奇跡」にもなり得るのではない
でしょうか。

■その他のレビュー記事

拝み屋郷内「怪談始末」「花嫁の家」は実話か?

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拝み屋怪談 禁忌を書く (角川ホラー文庫)

拝み屋怪談 禁忌を書く (角川ホラー文庫)

  • 作者: 郷内 心瞳
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/07/23
  • メディア: 文庫




拝み屋郷内 怪談始末 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

拝み屋郷内 怪談始末 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

  • 作者: 郷内心瞳
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 発売日: 2014/05/22
  • メディア: 文庫



拝み屋郷内 花嫁の家 (文庫ダ・ヴィンチ)

拝み屋郷内 花嫁の家 (文庫ダ・ヴィンチ)

  • 作者: 郷内 心瞳
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 発売日: 2014/09/24
  • メディア: 文庫



拝み屋怪談 逆さ稲荷 (角川ホラー文庫)

拝み屋怪談 逆さ稲荷 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 郷内 心瞳
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/06/20
  • メディア: 文庫



拝み屋怪談 来たるべき災禍 (角川ホラー文庫)

拝み屋怪談 来たるべき災禍 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 郷内 心瞳
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/06/17
  • メディア: 文庫



拝み屋異聞 うつろい百物語 (イカロスのこわい本)

拝み屋異聞 うつろい百物語 (イカロスのこわい本)

  • 作者: 郷内 心瞳
  • 出版社/メーカー: イカロス出版
  • 発売日: 2017/06/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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